沖縄移住話


旅ではない、暮らす沖縄。

東京オンリーで生活してきた私にとってはショウゲキ(衝撃・笑劇)の連続でした。


<冬にマンゴーを売ってる店は〇〇だ!>

甘ったるい香り、豊潤でとろける果肉。初めて沖縄のマンゴーを食べた時、私は一つの決断を下しました。

「こんなおいしいもの、子供には絶対に食べさせない」。

だって必ずせがんでくるもの。そうなるともう家計は火の車ですよ。沖縄県産マンゴーは安くても1個1,000円ほどの買い物。今まではスイカやリンゴをおいしい!と言っていたのに、あの果実に手を出したが最後、我が家のフルーツ代が炎上すること間違いなし。

…って、子どものいない我が家が心配する必要はありませんが、それくらい破壊力のあるおいしさなのです。

今年の夏は梅雨が12日早く終わったおかげで、マンゴーの出荷量が大フィーバー!例年以上に大ぶりで甘みの濃い果実に育ったそうです。確かに、店頭に並んだマンゴーは500g超の4Lサイズも数多く、赤みがきれい。シュガースポットが薄いものでも十分おいしく、黒い斑点が浮くタンソ病も少ない気がします。ちなみに、沖縄県産のいわゆるアップルマンゴーが出回るのは6月~8月上旬まで。沖縄=南国のイメージが強いので一年中採れると思っている方もいるようですが、旬は意外と短いのです。なので冷凍物はともかくとして、冬場に県産のフレッシュマンゴーを出しているお店はかなり怪しい…。残念なお知らせですが、フィリピン産の可能性が大でございます。

ビジネスでも家庭でも、マンゴーは大人を狂わせてしまう禁断の果実と言えましょう…。


<夫VSマグロのプリン体>

私の夫はスリム体型で胃下垂。ぽっこりお腹なぞ気にせずに何でもモリモリ食べられる、まさに食いしん坊の理想ボディです。

しかし、ひとつだけ注意すべきものが。それは魚の卵。元来プリン体を溜めやすい体質らしく、たらこやいくらといった魚卵をセーブするようお医者様から言付かっているのです。そのため、たまーにたらこパスタを食べるときは「くぅ、清水の舞台から…」などと悲壮感たっぷりな表情を浮かべて完食しております(笑)

沖縄に移住後、そんな夫にまたしても新たな敵が出現しました。ややグロテスクなこちらのビジュアル。これ、ビンチョウマグロの卵なんです。沖縄では一年中生マグロが捕れますが、マグロの卵が出回るのは春先だけ。市場では茹でたマグロの卵がパック詰めされて500円くらいで売られています。お醤油をたらして食べたり、煮付にしたり。パスタにも合うそうです。大味でちょっと臭みがありますが、プチプチ食感が面白い。

「これ、全部食ったら俺の体どうなるかな…」たらこの倍以上ある房を見て恐れおののく夫。いや、こいつはまだ小さいほう。本マグロの卵は人の腕くらい太いんだぜ。…なんて事実、彼には衝撃すぎて、よう言えませんわ。


<走る、ひとり犬>

沖縄の犬

犬が大好きなこと。

いちばんは家族とたっぷり遊んだこと、次はおいしい骨付き肉が供されたことだとして、三番めくらいにはお散歩が入ってくるのではないだろうか。

暑くても、風が強く吹いていても、やっぱり走ることはたのしいものねぇ。飼い主さんと一緒だったら、なおさらよねぇ。

でもでも。このお散歩、沖縄ではあんまり見ない光景なのです。

「夕暮れでも暑いからよぉ」と、いうことで、飼い主さんは不参加。

かわりにリードを外された本人だけが、自主的にお散歩へ。あれ?タロウとジロウ?と思わず叫びたくなるワンズや、道路を横切らずに歩道橋を渡る、大変お利口な子だって見たことありますよー。

その反面、事故や保健所に連れて行かれてしまう悲劇もあるとか。

ひとり犬が多い沖縄、散歩の需要は大。これってもしかして、起業のチャンス?


<猫、ひと夏の恋>

沖縄の猫

犬に続いて、猫の話。

四方を海に囲まれている沖縄は、お魚天国。必然的に猫にとってはまたとない楽園。町を歩けば、2、3匹の猫なんてすぐに見つけることができます。

猫とたくさん出会える理由。実は温暖な気候も影響しているようです。

北風が吹き、雪が降る。冬の季節がないこの島では、猫にとっては生き延びやすい環境なのです。おまけにこの暑さは、真夏のビーチによくある「ひと夏の恋現象」を誘発。一般的に猫の出産は一年に二度といわれていますが、アバンチュールを求めた結果、沖縄では年に三度も産声が。

恋の顛末は、通りがかりの優しい人が手を差し伸べているのでしょう。「猫、譲ります」という掲示板を目にするたびに、温かな気持ちがこみあげる私です。


<さらばトマトよ!>

沖縄のトマト

沖縄に暮らしはじめて、最大の誤算はトマトの逃げ足の早さでした。

日本でいちばん暑い国、さぞかし好物のトマトをいやというほど食べれるに違いない。

そう思っていたけれども、現実は違っていたのです。日差しが底抜けに強いこちらでは、

トマトの収穫期は4月からのおよそ2カ月。市場に行けば、この時期にだけ真っ赤なトマトが山ほど並びます。それこそ一袋100円で投げ売りされている日も多いくらいです。

たっぷりおおぶりな桃太郎に、かわいいミディトマト、鈴なりのアイコ…目移りしてしまうほどの豪華なラインナップ。移住1年目は「トマト三昧の生活が送れる!」 と、喜びの悲鳴をあげたものですが、その夢はまったくのまぼろしでした。梅雨とともに、トマトのシーズンは終了。夏本番の8月にはトマトのト文字もなく、強い日差しでもぐんぐん育つゴーヤーやナーベラー(へちま)が市場を席巻するのです。夏の太陽を見ると時折思い出す、あの酸味、あの赤み。沖縄に住んで、8月がすこしだけ寂しいよ…。


<沖縄で高所得者になるには>

オリオンビール

2013年9月現在、最低賃金653円の沖縄県。

求人誌をぺらっとめくれば、ほぼ同時給の仕事がずらり、よりどりみどりでお好きな仕事を選べます。時給が低いアルバイトはイヤ!就職する!という場合もほぼ同様の結果で、正社員になっても手取りが20万円以下はザラ。

完全失業率も全国1位なので、専業主婦を夢見る方にはキビシイ現実かもしれません。「専業主婦って幻の生き物かと思った!」なんて言う人もいるんですよ(汗)

南国=ゆるーく生活してそうなイメージですが、それはちょっと違うかも。輸送費用がかかるため食料品などの物価もそこそこ高く、土地が限られた島国のため地価は下落しにくいと言われています。そんな中で高所得を得るにはどうしたらいいのか?

近所のおばぁ曰く、「公務員になるか、公共事業を受注するゼネコンで働くのが一番さぁ」。・・・うーん?

おばぁはさらっと言っていたけれど、どうしても腑に落ちないぞ…。少年よ、大志を抱け!私も、頑張る!